WooCommerce 9.9 will deliver massive admin performance gains (May 13, 2025)という記事が公開されました。その記事の説明です。
WooCommerce チームは、最新バージョン 9.9 にて、これまでにない大規模なパフォーマンス改善を実現しました。
今回のアップデートでは、管理画面の動作速度が劇的に向上し、主要な画面で最大95%の高速化が確認されています。
商品数や注文数、顧客データが膨大な店舗でも、もたつきのない、滑らかな操作体験を実現。WooCommerce を本格的な業務で使っているすべてのストア運営者にとって、待望の進化です。
WooCommerce 9.9 は、管理画面の操作性を劇的に向上させるアップデートです
WooCommerce 9.9 では、これまで遅くて煩わしく感じていた管理画面のパフォーマンスが大幅に改善され、画面の表示速度が驚くほど高速になります。今回のアップデートでは、よりスマートなキャッシュ処理、非同期でのデータ読み込み、高速化されたデータベースクエリによって、主要な管理画面の読み込み時間が最大で95%も短縮されました。その結果、店舗管理者は大量のデータセットを扱う場面でも、ほぼ待ち時間なしでスムーズに操作できるようになります。
大規模なストアを運営されている方へ:WooCommerce 9.9 が真価を発揮します
もしあなたが、
- 数十万件、あるいはそれ以上の注文データ、
- 数万点の商品、
- 数万人規模の顧客情報
といった、非常に大きなデータ量を扱うストアを管理しているのであれば、WooCommerce 9.9 はまさにそのために設計されたバージョンです。
最大95%のパフォーマンス改善を実現:ベータ版で体験できます
WooCommerce 9.9 のパフォーマンス改善は、特定の操作だけでなく、管理画面全体のあらゆる機能に及びます。例えば:
- 注文数のサマリー表示
- コメント数のカウント
- カスタムフィールドの参照
- 分析用ウィジェットの読み込み
など、多くの機能が対象です。
その効果を実感いただくには、WooCommerce Beta Tester プラグインを使って、9.9 ベータ版を実際にインストールして試してみるのがおすすめです。
📊 ベンチマーク結果(検証ストアの条件)
WooCommerce チームでは、以下のような大規模ストアを想定した環境でベンチマークテストを行いました:
- 注文数:120万件超
- 商品数:15,000点
- 顧客数:60,000人以上
- HPOS(High-Performance Order Storage)有効化済み
この環境で、バージョン 9.7.0(比較基準)と 9.9.0 を比較したところ、あらゆる管理画面で明確なスピード向上が確認されました。
🚀 具体的に、どのような技術的改良で高速化を実現したのか?
🧠 注文数キャッシュの最適化(#54034)
注文管理画面では、注文数のカウントをキャッシュとして保持する仕組みに変更しました。これにより、これまで22秒かかっていたページ読み込みが、1秒未満に短縮されました。大量の注文データがあるストアでも、注文一覧の表示やフィルター操作が、まるでリアルタイムのようなレスポンスになります。
※まれにキャッシュと実際の値が一時的にずれる可能性がありますが、自動でキャッシュが更新されるため、実用上の問題はありません。
💬 コメント数キャッシュの最適化(#54984)
wc_count_comments 関数の処理ロジックが見直され、関係のあるコメントタイプに変更があった場合のみキャッシュを無効化するように変更されました。これにより、頻繁なキャッシュ無効化や高負荷なクエリが減少し、管理画面のレスポンスがより安定しました。
📦 カスタムフィールド(メタボックス)の非同期読み込み(#55136)
HPOS対応ストアにおける注文編集画面のカスタムフィールド(metabox)の読み込みが、必要なときだけデータを読み込む非同期方式に変更されました。これにより、ページロードごとに走っていた高コストなクエリが不要になり、編集画面の読み込み速度が大幅に改善されました。
※この改善も、HPOSを有効化しているストアが対象です。
📊 ダッシュボードのステータスウィジェットをバックグラウンドで読み込み(#56039)
WooCommerce ダッシュボードに表示されるステータスウィジェットは、従来はページの表示前に読み込まれていましたが、9.9ではページ表示後に非同期で読み込むように変更されました。これにより、特に注文数が多いストアでの管理画面トップページの読み込み時間が、数分 → 数ミリ秒へと短縮されました。
📅 「注文月」ドロップダウンの高速化(#55510)
注文の絞り込みに使用される「月別フィルター」は、従来すべての注文データを走査して該当月を抽出していました。9.9では、最古の注文から現在までの月リストを一気に生成する方式に変更され、非常に高速に生成できるようになりました。
※この変更により、注文がなかった月もドロップダウンに表示されることがありますが、パフォーマンスとのトレードオフとして許容範囲とされています。
👚 オンボーディングでの商品存在チェックを効率化(#55872)
商品登録時の確認処理において、これまで使用していた SQL_CALC_FOUND_ROWS を廃止し、LIMIT 1 を使ったシンプルな存在チェックに切り替えました。これにより、大規模な商品カタログを持つストアでも、オンボーディング中の操作が高速になります。
📈 分析用の注文ステータス取得をキャッシュ(#55916)
従来は、分析機能でのステータス表示のたびに SELECT DISTINCT status FROM wp_wc_order_stats という重いクエリが実行されていました。9.9では、これらのステータスが12ヶ月間の一時キャッシュとして保存され、再取得の頻度が大幅に削減されました。
🧾 税設定のウィザードにキャッシュ導入(#56089)
税率が存在するかの確認処理について、これまでは毎回クエリが走っていましたが、9.9ではキャッシュで結果を再利用する方式が採用されました。これにより、全国対応のストアなどで数千件の税率設定がある場合でも、負荷の少ない動作が可能になります。
🔄 HPOS の同期ステータス確認を最適化(#56186)
WooCommerce は、注文データが HPOS と同期されているかどうかを確認する際の動作を最適化しました。今後は、実際に同期処理が走っていない限り、未同期の注文件数を数えないように変更され、400ms程度かかっていた処理が、なんと 1.5ms に短縮されました。
⭐ 保留中レビュー数のキャッシュ対応(#56215)
管理画面で表示される「保留中の商品レビュー数」についても、オブジェクトキャッシュに保存されるようになりました。レビューが投稿・承認されるたびに、キャッシュ内のカウントがリアルタイムに更新されるため、毎回のデータベースクエリが不要となり、高速化と正確性の両立が実現されています。
🔧 WooCommerce 拡張開発者やカスタマイズを行う方への注意点
WooCommerce 9.9 では、多くの管理画面処理がキャッシュを利用するようになったため、以下のような拡張機能やカスタムクエリを扱う際は注意が必要です:
- 注文数
- 注文ステータス
- コメント数
- 税率の存在チェック
- 保留中レビュー数 など
これらのデータは、リアルタイムではなくキャッシュに依存する挙動になっているため、開発やデバッグの際にはキャッシュの更新タイミングや無効化方法も理解しておくことが重要です。

